ニコ生やustreamで音楽を流したら捕まるの? ネット配信の音楽利用を解説!
2010年5月12日に衝撃的なニュースが飛び込んできました。ネット放送で逮捕者がでたのです。
音楽ファイルを違法にライブストリーム配信しているインターネットラジオ番組運営者を著作権法違反の疑いで逮捕
群馬県警察本部生活安全部生活環境課および群馬県前橋警察署は、本日(5月12日)、インターネットラジオサービスを利用して、JASRAC管理楽曲の音楽ファイルを違法にライブストリーム配信していたラジオ番組運営者の男性(43歳)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕したことを発表しました。
今回の事件は、インターネットラジオサービス「livedoorねとらじ」を利用して開設されたラジオ番組「★★★★BGM★★★★ by kei」において、約2万曲もの音楽ファイルを違法にライブストリーム配信していたものです。
なお、インターネットラジオのようなストリーム配信型の違法音楽配信に関して、著作権法違反の疑いで逮捕者が出たのは今回が初めてのことです。
該当サイトはこちらになります→ みゅーじっくBGM by kei
今回は『livedoorねとらじ』の配信者が逮捕されました。それでは『ニコニコ生放送』や『ustream』といったインターネット放送サービスはどうなのでしょうか?
JASRAC |
JRC |
イーライセンス |
|
ニコニコ動画 |
○ |
○ |
○ |
ニコニコ生放送 |
○ |
○ |
○ |
youtube |
○ |
○ |
○ |
ustream |
× |
◎ |
× |
ねとらじ |
× |
× |
× |
表はどの著作権管理団体の楽曲が利用できるか書いたものです。○は歌詞・メロディ、◎はCD音源が利用できます。
結果からいうとCD音源そのまま流すのはどのサービスでも違法です。しかし、ニコ生やyoutubeでは信託曲に限り自分ですべて演奏し、歌うのであれば合法です。CDのカラオケをバックに歌を歌うのはCDの演奏をつかってるのでダメです。ustreamはほとんどの曲はNGですがJRCという団体が管理している曲の一部だけ、CD音源も含めて合法です。
こうした事情は、背景を理解するとすっきりわかっていただけるとおもいます。普段私たちが耳にする音楽というのは、超おおざっぱにいって「作曲する人」「作詞する人」「演奏する人」「歌う人」が作っています。一つの曲というのは、みんなでつくった作品であり商品です。それを利用するときは、関係者全員の許可がいることになります。
しかし、個別に許可をとっていたらものすごく大変です。だって、大人気の「けいおん!!」の曲や「嵐」の曲はいろんなお店、テレビ番組、ラジオ番組、学校、サークルが使いたいとおもってます。てことは、「けいおん!!」の作曲者、作詞者、演奏者、歌手と1回1回交渉するということになります。これは大仰なことをいっているのではなく、着うたの販売業者などはマジで毎回交渉しています。
こんなことしてたら、音楽の旬を逃してしまいます。音楽をもっと広く使って欲しい。だから、音楽の権利の一部をまとめて一つの窓口で管理することしました。それがJASRAC、JRC、イーライセンスなどの著作権管理団体です。これによって「けいおん!!」の作曲者と毎回交渉するのではなく、窓口にちょっと書類をかけば利用OKとなったわけです。JASRACなどが音楽流通の促進とお題目を掲げているのは、ダテではありません。音楽をみんなに聞いてもらうために、JASRACがあるわけです。
JASRACなどが管理しているのは音楽の権利のなかでも楽譜(メロディ)と歌詞です。ニコニコ動画やyoutubeはJASRACと「歌詞とメロディ使い放題プランを***万円でください!」という契約を結んでいます。JASRACは動画サイトから預かったお金を作曲者や作詞者に分配します。こうすることで、曲を使いたい人、作る人がどちらも損しないようにできてるわけです。JASRACが管理していない伴奏や歌という要素は相変わらず個別交渉しないと使えません。だから、CD音源を流すことはできません。
今回JASRACがねとらじ配信者を逮捕したのは、ねとらじはJASRAC信託を結んでない上に、配信者が伴奏や歌の権利を持つ人たち(音楽出版社)の許可を得なかったためです。多くの場合見逃されるのですが、あまりに長期にわたりCD音源を流し続けてきたため商業上の不利益があり、放置できなかったと推測されます。
このねとらじ配信者さんのようにCD音源をそのまま流したり、リミックスしてDJプレイしたいという要望はネット放送では根強い意見です。これに対応するためスピッツの楽曲などを管理するJRCは許可を得た一部の楽曲をustreamで流せるという画期的な試みをしています。この流れがうまくいけば、もっと多くの曲が合法で自由に使えるかもしれません。
中には「JASRAC信託してない楽曲なら自由だよ! JASRACなんて敵だ!」というかたもいます。お気持ちはわかりますが、上に書いてきたように誤りです。著作権管理団体はJASRACだけでなく、JRCやイーライセンスといった団体があります。作曲者は好きな団体に管理をお願いすることができます。もちろん、預けない方法もあります。例えばゲーム音楽や、初音ミクの楽曲などの多くは今でも預けない選択を選んでいます。預けなかったということは、これらの楽曲を使うときは、歌詞やメロディであっても個別交渉が必要です。交渉なしではお目こぼしの範囲でやっているだけで、その初音ミクのメロディや歌詞の権利がクリアな形で自由に流通しているとはいえません。
こうした著作権にまつわる議論で忘れてはいけないのは著作権法や著作権管理団体は、作者と利用者両方のメリットのために作った仕組みだということです。あくまで、目的は作る人も使う人も得することです。もちろん、ネットでの著作物利用のされかたが目まぐるしく変化するため、古い法律では対応できない面もあります。時には、ルールを遵守していたら全員損するなんて悲しいこともあります。そうした中で私たちが意識しなくてはいけないのは、ある程度の知識をもった上で現実的に作者と利用者のメリットを考えて行動していくことではないでしょうか。潔癖症や正義厨にならず、かといってダークサイドにもならず、うまいとこ着地点を探りながら活動していきたいですね。
参考blog
Fumi’s Travelblog: UstreamとJRCの契約について JRCについて非常によくまとまっています
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@sagiusagisagi こちらをどうぞ http://t.co/ExnI90jC
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参考。ちょっと古い記事だけどわかりやすい。 http://t.co/dmNHaQhu
これ読むとスピッツは偉いなというコト
http://t.co/QY1Jxpkw
これ読むとスピッツは偉いなというコト
http://t.co/QY1Jxpkw
@szk913 http://t.co/sY3ba0fX 管理楽曲はここ ソースはここ http://t.co/9soc2L3c
カラオケから配信できるのか?という勉強をしています。とりあえず。 http://t.co/KOPjA3C5
@abubu_rage だいぶん前のとこであぶらげさんも検索していただけるとうれしいのだけど、一応これ→http://t.co/Ky9zRWaP
http://t.co/ATWpR7ZY これって結局どうなの? 生放送で曲はあかんのえ??
@yaman1231 http://t.co/YxWtRsdH ここみた?
RT @enjoynicolive: ニコ生やustreamで音楽を流したら捕まるの? ネット配信の音楽利用を解説! http://t.co/X7IEa9FF
@tubuyakuchibue 今回はダウンロード側だけで「録音や録画」の部分が多く、アップロード側の追記はみられませんでした。以前アップロード側と呼ばれる感じの配信者はグレーゾーンと呼ばれるとこを進み続ける感じですね。参考に→ http://t.co/Ky9zRWaP
ネット配信する場合はこのサイトの解説が分かりやすい。包括契約を結んでいるサービスを利用するとよいです。 [NKH] ニコ生企画放送局 » ニコ生やustreamで音楽を流したら捕まるの? ネット配信の音楽利用を解説! http://t.co/UlRJQ3Js
へえ。RT @enjoynicolive: ニコ生やustreamで音楽を流したら捕まるの? ネット配信の音楽利用を解説! http://t.co/k0mG4pW6
@soleil_aya あとコレもよかったら◎
著作権について http://t.co/pRFc570M
@sashi_min @hikkuru JRCおんりー http://t.co/Ac99nF6v