食品添加物だけで作る『クレイジーキッチン ケミカルカレー』 #MFT2013

2013/11/03 お知らせ このエントリをはてなブックマークに登録

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2013年11月3-4日『Maker faire tokyo 2013』で[NKH]ニコ生企画放送局は『明後日の食卓』と題する展示を行いました。
その中身は『クレイジーキッチン ケミカルカレー』という「食品添加物だけでつくるカレー」です。

様々な食品添加物(きわめて安全)を組み合わせて、美味しいカレーを作ります。
一つ星フレンチシェフ監修のスペシャルレシピで究極のカレーを召し上がれ!

甘み
・フルクトース(果糖)
・グルコース(ぶどう糖)
・スクロース(ショ糖・砂糖)

うまみ
・グルタミン酸ナトリウム(味の素)
・コハク酸

酸味
・クエン酸
・リンゴ酸

コク
・不飽和脂肪酸(ブライト)

香り
・クミン
・カルダモン
・ターメリック
・コリアンダー
・シナモン

辛み
・ジンジャーパウダー
・唐辛子

とろみ
・デキストリン(とろみアップ)

塩味
・塩化ナトリウム(食塩)


・食紅 赤

食と化学の面白さを、体験してください!

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以下種明かし

」とはなんでしょうか?
テレビやiphoneも突き詰めれば電池とコンデンサと抵抗とトランジスタとコイルの塊です。
それと同様に分解して考えていきましょう。

舌で感じる味覚は以下の5つの受容体でできています。これは総称して「基本味」を呼ばれます。
・うま味
・酸味
・甘味
・苦味
・塩味
(研究段階では脂味とカルシウム味もあるのではと言われています)

さらに、
・食感(するする、ねちゃねちゃ、さくさく。筋紡錘による圧力の検知)
・痛覚(辛み)
・嗅覚(香り)
・音(バリバリ、ぽりぽり、じゃりじゃり。鼓膜の振動)
・見た目(色)
も重要な要素です。

では、この中で「味」に大事なものはなんでしょう?
諸説ありますが香りが6割、味覚が2割、音と食感と色で2割くらいでできています。
案外舌で感じる味の割合というのは、少ないのです。
香りが6割ということは、「砂糖水」の香りをかえてやれば、様々な「味」になります。
じゃあ、カレーの香りさえ作れれば、カレー作れるんじゃないの?

 

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今回のカレーは「チキンとトマトのインドカレー」を再現しています。
タマネギと鶏肉を炒め、トマトピューレをいれて、スパイスをいれた、きわめてベーシックなインドカレーです。

まず、ベースの味を再現しましょう。
タマネギの味というのは、炭水化物と甘みととろみなので、糖類(ショ糖、果糖、ブドウ糖)で代用します。とろみはデキストリン、とろみ剤で再現します。
トマトジュースの味は、甘みと酸味とうまみと色です。甘みはタマネギと同様として、酸味料(クエン酸、リンゴ酸)とグルタミン酸ナトリウムで味をつくってあげます。色は食紅でOKです。ここで「え、トマトジュースがなんで味の素(グルタミン酸ナトリウム)なの?」と思われるかたもいるかもしれません。wikipediaのグルタミン酸の項目にも書かれていますが、トマトとはうまみの塊なんです。だからトマトスープなどは大変美味しくできます。
チキンというのは、うまみと炭水化物と脂です。うまみはグルタミン酸で代用し、炭水化物は糖類で、脂の味は、コーヒーにいれる粉ミルク、ブライトで代用します。「なんで脂の代わりにブライト?」なのですが、ブライトは実はミルクからできていません。サラダ油と糖類を、乳化剤で水にとけるようにしたものです。つまり、みんなは単なる油のかたまりをコーヒーにいれているだけです。この油が多いほど「コク」を感じます。

「香り」はインドカレーと全く同様のものをつかいます。
味の6割は香りですから、ここでほとんどごまかされます。

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私たちが普段美味しく食べている食品は、だいたいこういう理屈で作られたものです。(代表例:無果汁のファンタ)
生のものを使わず、こうした合成した薬品で作るのは、安全で美味しいからです。生のものは腐って危険だし、季節で味が変わって安定しないし、沢山食べると毒があったり、そもそも美味しくなかったりするので、化学的に合成したほうが人間にとって有益な場合が多数あります。
味覚なんて多数のセンサの集合でしかないのですから、センサがちゃんと反応してくれれば、それでよいではないでしょうか。(栄養面はまた別です)

……と、煽ってみましたが、別に我々はこういうケミカルな食品を推進したいのではなく、「味ってなんだろ」「人間の味をハックするっておもしろい」という純粋な気持ちで活動しています。実際に体験してみるとものすごく面白く、そして味覚を構成する様々なセンサに対して自覚的になれます。自分自身を知る意味でも、ケミカルカレー、ぜひ体験してみてください!

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spetial thanks: シーク、へるどくたークラレ先生

 

 

 

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